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2010/3月イタリア靴見本市
今回は、展示会リポートと言うより、主観的なつぶやきを聞いてください。
当たり前ですが、毎回買い付け出張に行く前に、次に欲しい靴のスタイルは、ある程度頭のなかに入れて行きます。その源は、お客様との会話からや販売していてわかる傾向、海外からの最新ファッション情報、そしてそれらの情報以外からインスピレーションを得て気になっている靴などがあります。そんな中に、今ちょっと注目しているスタイルで、ポインテッドトゥがありました。「えっ、そんなの‘00年代に何度も取り上げられ、そこそこ出回っていたよ」と思う方も多いでしょう。実際ヒスゲートでも4〜7年前にかけて何度か仕入れていました。それらは、わかりやすいタイプで言うとドルチェ&ガッバーナで長い間売られていたようなとんがりシューズでしょうか、ロングノーズでソールが薄くコバの張り出しも無い、つま先にかけてスーッとほっそりしたスタイルの靴。しかしそんなタイプの靴なら、今メーカーへ電話一本入れれば何十型も仕入れることが出来るでしょう。当然その様なタイプではありません。
いま私が欲しいのは、もっとノーズの長さがノーマルに抑えられ、ボールジョイントあたりの幅が広めでそこからつま先まで軽くカーブを描きながら急角度でほっそりしていくライン。ソールは少し厚めかボリュームのあるゴム底など、ソールに合わせてコバ部分もバランスよく出たスタイル。
重要なのは、甲からつま先部分を横から見たときの厚みがある事、特に先端部が薄いとちょっと思うイメージと違ってきます。文章で説明すると分かりづらいかも知れませんが、私の頭の中ではハッキリとしたイメージがあったのです。全体的なシルエットだけでいうと、ジョージコックスのようなUKブランドが80年代に多く作っていた、尖った木型でゴム底の靴が近いかもしれません。
ポインテッドトゥといっても雑誌の特集など見ていると解釈は様々、スクェアトゥの細いつま先のタイプからラウンドトゥの細めまで広範囲、たまに「これは違うやろ」といった靴も混じっていたりして。私の今考えるイメージは、はっきりと尖がったシェイプや細くラウンドした感じのつま先。実は、前回の出張時もこのタイプの靴を探してはいたのですが…近いシルエットのモノもいくつかありましたけど、思い通りのモダンなタイプがなかなか無くてあきらめていました。しかし今回はいくつか見つかりました。〈秋頃入荷予定〉ももにちょっとゆとりがあって、裾あたりが細くなったようなデニムパンツが最近気になっていて。そんなテーパードのカジュアルパンツに合わせて自分でも履こうかと、今から楽しみに思っています。

展示会ではメンズのドレスシューズは、ほっそりとしたタイプの方が増えていたと思います。オーソドックスなラウンドトゥが増えていた時期は一瞬でした。あまりセールスが伸びなかったのでしょう。
あるメーカーが、革底とゴム底のラインに分け、カラーはすべて黒のみでレザーソールには光沢のあるカーフレザー、コンフォートなゴム底ラインには鹿革のようにソフトなもみ革のみ、というシンプルに統一されたメンズのドレスシューズコレクションを展開していました。その潔さみたいなものが、私にはとても新鮮に感じられ、今の時代に対して一つの正しい提案であると思いました。
前回多かったカジュアルなロングブーツはちょっと減っていたかなと思いましたが、まだまだ提案は多めです。メーカーによってはバリエーションが増えていたり無くなったり、あるいは前回レースアップ主体だったのが、今回はバイカーやエンジニアっぽいブーツにデザインが変わっていたりと、メーカーごとの内容が大きく変化しています。
アメリカを意識したようなアウトドアテイストのブーツが少し増えていましたが、これらのタイプは専門的にずっと作り続けているような安価な量産メーカーも多い為、新たに提案しても勝負しにくいと多くのトレンディーなメーカーは考えているのではないでしょうか。
ティンバーランドの新作のコレクションを見ましが、新たなラインも出しているようで、結構カッコ良かったですし価格的にも買いやすいでしょう。(日本で同じモノが展開されるかどうかは未確認)
あるイタリアメーカーの人と話しましたが、「一年前にかっこいいマウンテンブーツを出したけど、みんなティンバーランドに行っちゃって、生産にいたらなかった」ということでした。
イタリアの靴見本市だけで言えば、日本の雑誌などで取り上げられているほど、アウトドアなブーツをトレンドとして提案しているメーカーは少ないと感じた。
バイカーっぽいデザインやミリタリーブーツのような靴を作らせた方が、イタリアンデザインの真価を発揮しやすいと思います。実際有名ブランドのショーでもミリタリーテイストの服に合わせて、こういったブーツの提案がまだ多く、それらはトレンドでありながら定番的で、手持ちのワードローブにもシックでコーディネートしやすいでしょう。レディースのコレクションともに、ハード系ブーツのデザインはかなり洗練されており、(ここ一年半位はこれでもか、というくらい作っています。)レースアップのタイプにしてもバックルベルトやハーネスなど使ったブーツにしても、デザインをうまくミックスして見せたり、エイジングされたレザーだけでなく新たにハード系に合うような革が提案されていたりとかなり上出来。(ただしハードなエイジングレザーは、革ジャンも含めて個人的には飽きています。うまく加工していてもやっぱり、今はもういいかなという気分。)
レディースで、ショート丈のエンジニアブーツやムートンブーツで有名なアグのようなフォルムと丈を持ったブーツが目立っていました、これらは以前からの傾向ですが、こういったタイプにベルトなどで流行ったスタッズを打ち込んだデザインが急増。
注目のスニーカーは、色使いや素材、スタイルをシックな方向に仕上げている物が少し加えられていまた。しかし、毎回大きく変化させた提案でなくてもいいような気がしますし、秋冬に向けた新作だとしても、もっとポップな雰囲気の方がまだまだ新鮮だと思う。ここ最近のスポーツメーカーが作るファッショナブルな方向にシフトしたスニーカーと、ファッションブランドや靴メーカーが提案するスポーツメーカーのようなスニーカーとのデザイン感覚の接近が、私には楽しく見えていました。とくにイタリアの靴メーカーが、どれだけスポーツメーカー的カッコいいスニーカーを作ってくれるかなどは、個人的な興味だったのですが。単純にシックな提案なら、過去にも今も、他にいくらでもあるよって感じでなにか物足りない。もしかすれば、これらもアメリカンアウトドアシューズのように、本家のスポーツメーカーに圧された結果なのかもしれません。

2010年に突入して、何か新しいスタイルや大きな流行を期待したいところだが、現状では個々での過去の売れ筋や、硬いところでしっかりバリエーションを見せるのが、多くのメーカーのベストな取り組み方なのだと思います。
‘00年代の後半頃からは、特にメンズファッションが低迷し(世界的に)、トレンドは大きく裾野に広がる力が弱まっていると感じます。今は格差社会でなお且つ不況だから、と言ってしまえばそれはそうなのですが。
流行のスタイルが十分消化されること無く、次々に新しい提案をして情報が溢れ過ぎても、消費者は戸惑うでしょう。
‘10年代のスタートは、もっとゆっくり自分のスタイルを完成させて、それをしばらく楽しみたいと男性たちは思っているに違いありません。そしてもう少し違った形や色などが欲しくなれば、それがファッションの源です。
展示会で傾向は見極めても、メンズは時代の気分と合うかが重要。もう少しの間、溢れすぎたモノを消化して、整理する必要があると感じました。
そして流行の大波は、経済の復興とともに、やってくるのだと思います。2010/4月


写真上: 見本市会場より、遠くに見えますアルプスの 雪景色が見えますでしょうか?
写真下: ミラノショーウィンドースナップ、右下フェラガモのコンビシューズ はカッコイイのですが、合わせたスーツが微妙。




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