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* ショールームで、担当者の女性に出身はどこなの?と聞くと、元気よくミラノという返事。
そして母親もミラノ生まれで、父親は6歳の時にトスカーナからミラノに移り住んできた人なのと付け加えた。「私はほぼ純粋なミラネーゼよ」と言いたいのだろう。
私はイタリア人ではないので、ナポリやローマ、フィレンツェなどの出身者たちがそれぞれどんな特徴と出身地に対する思いを持っているのかは知らないが、その女性は自分がミラネーゼであることを誇りに思っている気持ちは伝わってくる。
私は関西人だ。随分前に、東京と大阪の両方に取引先を持つメーカーのイタリア人経営者が、東京の人と大阪の人は感じが違うのがわかると言っていた。私はどう違う?と聞いたが、すぐに的確な英語が出てこないようで、こちらから「大阪のほうが明るいか?とか東京はちょっとシリアスに感じるやろ」など単純に聞いてみたが、どうもそうゆう表現がぴったりではなさそうな顔をしている。まぁどうでもいいかとそのときは思ったが、今考えると『大阪の人のほうがケチだ』なんて言いたかったのかもしれない。言葉が出てこないのではなくて、言いにくかったのか?たしかその話の前に貿易条件の事で少しもめていた覚えがある。その時に私の注文を受けてくれていた別の男性は、私側の条件で受注が決まったとたん、オーダーシートの自分の控えを破り、手でクシャクシャに丸めたかと思ったら、放り投げて足で蹴飛ばしイタリア語で「満足か!」と言い放ってスタンドの外に出て行ったのである。日本ではありえないビジネスの場での行動だが、実際には凍りつくような雰囲気ではなく、60パーセントくらい冗談交じりな態度でタバコを吸いに出て行ったのだ。
そんな2人のやり取りをその経営者は横で見ていたからだ。
そして、お前はかわったやつだと私に一言。
絶妙なアクションで私にプレッシャーをかけず自分の気持ちをさらけ出したその彼はとてもチャーミングなイタリア人男性の一人だ。その後彼は別のメーカーに移ってセールスをしていますが会場で見かけると今でもチャオ!とやさしく声をかけてくれる。
日本人同士でもそうだが、特に外国との取引はそのお国柄や人柄は理解しておかないといい取引は出来ない。相手に合わせるのではなく良さを引き出すのだ、おたがいの事をよく理解しあった上での商談は楽しい。
私は今現在、自分の店がある町と同じ立売堀に住んでいます。もう14年目になる。生まれ育った所ほど長くはないが、けっこうな年月があっという間に過ぎた。
住み始めた頃は、この場所に自分で店を構えるなど思いもしなかった。しかしたまたまという事もない。今から25年程前、まだ今とはまったく違う仕事をしていた頃、大阪市内を営業車で毎日のように走っていて、少し北の京町堀からこの立売堀の1つ南ブロックの新町あたりは,通るたびに住んでみたいと思っていた場所の一つだった。そして当時は、ほとんどなかった雰囲気のいいカフェや飲み屋のようなバーのある靭公園沿いの道路に車を止めて少し休憩しながら、「こんなお洒落なバーとかやってみたいなー」とぼんやり考えていたのだ。今や靭公園周辺や新町などは雑誌で何度も特集のあるくらい多くのお洒落なカフェやレストランがあるエリアだ。この14年の間でも随分変化したのを見てきた。
新たなビルディングが建つ事にはうんざりだが、ブティックや飲食店のオープンは、どんなお店が出来るか楽しみだ。個人経営も多く内装や内容に独特の個性が出て面白い。

そして今、ヒスゲートが入るこの立売堀ビルは外装改修工事を行っています。実はこのビル昭和2年建築(北側旧館)の貴重なテナントビル。このたび大阪市から歴史的建造物の再生整備の対象に選定されました。昭和初期から残る近代建築の補修や夜間のライトアップなどで街並みの魅力向上が期待されています。4月1日に完成予定ですので、皆さん是非このライトアップされた立売堀ビルを見に来て下さい。そしてついでにヒスゲートを覗いていただければと思います。

イタリア出張に話を戻して展示会での感想なんかにも振れておきましょう。
一番感じた事は、ゴム底がたくさん使われているなという事。これは靴の傾向とも繋がっていて、まず女物のエンジニアタイプブーツの豊富さ。二つに一つは、いわゆるビブラムソールに代表されるようなブロックソールで作られています。そしてエイジング加工したレザーにスタッズ。前回と同じですが、スタッズも含めて全体的にヴィンテージに見せる加工はかなり進化していてよりリアル。スタッズも良く見るとスカルになっているものなど細かい仕様でオリジナルな工夫がなされている。ジップやハーネスなどの金具もボリュームや質感、デザインは完成の域に達した物を使用しているメーカーもちらほら。
そしてプラダのコピー、前回は男物で量産メーカーがサンプリングしていたことを報告しましたが、今回はもっと上質でオリジナリティーを加えたシューズをレディースメーカーがたくさん作っていました。オリジナリティーがあるのになぜ元ネタがプラダかわかるのかと聞かれたら、それはソールの形状と木型が似ているから。しかし素材使いやデザインでオリジナルな部分を出しています、なかにはサイドジップブーツなんかに(プラダにもあるのかな?) うまくデザインされているものなどレディースのほうが優秀。
とにかくエンジニアブーツもプラダ風も、ソールはゴム。材質はやはりスポンジラバーなど軽量化したもので重たいのはNG。形状はフラットで厚みのあるスタイルが今風。ヒスゲートでもBBWASHEDで紹介しましたよね。
スタンドで取引先と話をしているときも、ソールメーカーがゴム底の売り込みに来ているのを見かけました、ここ数年のゴム底シューズの台頭によって彼らは売上を伸ばしていると思われます。そのことがさらに新製品の開発につながり、今の状況が作られたのでしょう。ゴム底を作る機械って化繊を作るのと同じで、機械をストップしにくいでしょうから、大量に作られるのでどんどん売り込まないといけないだろう。
そしてもう一つ気になるのが、100%メイドインイタリーが少しずつ減っている状況。
会場を歩いていると100%イタリア製の表記を良く見かけるし、スタンドなどでサンプルをチェックしながら「レザーはイタリア製?」とだけ聞いても、うちは全部がイタリア製だという返事が良く返ってくる。これはそうでないところも多い事の裏返し、皆同業者だから周りの状況を良く知っているのだろう。何パーセントがどこ製で何パーセントの材料をどこで手配しているかは様々でしょうが、工場の労働力を工賃の安い外国に求めるのはアメリカや日本も行ってきたことで、現代の社会では自然な流れかもしれません。実際そんな製品がビジネス的にも好調で消費者の求めるものでもあります。我々もそんな商品に埋もれて商売する日が来るのかもしれません。
イタリアから伝統的な物作りがなくなることはないと思いますが、高級な手仕事の皮革製品だけが残ればいいのではない。量産するような工場でもイタリア製の良き雰囲気が出ているものです。私が好きなのはそういったその国オリジナルの味が出た製品で、そこを他で真似るのはそうとう難しいのではと思います。
私の仕事は、そのような製品にスポットライトを当て、この立売堀ビルの小さな店から発信し、伝え続けることです。2012.3月

写真:改修工事中の立売堀ビルと完成間近の様子。
あとは一階テナントに共通カラーのテントが入って完成。ヒスゲートオリジナルの黄色いテントではなくなるのがちょっと寂しいがビルが美しくなるならOK。
*ライトアップされたビルの写真追加しました。4/9

写真下;出張最終日、同業者の知人とドォーモ横のバールで情報交換など談笑中の私。買い付けた靴の写真を見ながら思考中?もう何十回もここを訪れていますが、この辺でお茶するのは、本当に久しぶり! 観光客気分です。








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